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2006年05月01日

調査日誌より(2006年№1)

<沖縄は新緑の季節>

4月1日調査の日程を変え、土曜日のヤンバル行き。ヤンバルの山は新緑が8分ほどで、新緑の濃い香りが漂っている。林道を原付で走り抜けるのも気持ちがよい季節。沖縄春の産物であるリュウキュウイチゴが道路脇に実をつけつつあり、今年の初物を口に入れると甘酸っぱい味が口内に広がる。
道路脇の穴には太さ約5cmのアカマタが穴いっぱいにとぐろを巻くというより、折りたたみ押し込んだようにも見える。そろそろ本格的に活動が始まるようで、今年最初の脱皮のため、近くの別々の穴にいる3匹とも体が白濁している。どれか1匹でも採集しようかとも思ったが折角穴の入口で気持ちよさそうに日光浴をしている姿を見るとかわいそうになり止める。異なる場所の道路脇の日陰の穴には昨年繁殖したと思われるイシカワガエルが日中であるにもかかわらず、穴に入口で外をじっと眺めている。近寄ると慌てて後ずさりをするが、また出てくる。このイシカワガエル同じ穴に既に2ヶ月間留まっている。この場所は毎年であるが穴位置は異なるがこのような個体を必ず見かけ、皆同じように日中穴の入口で外を飽きもせず眺めており。人や車が通るたび少し引っ込みまた出てくる。これを日中繰り返しており、日陰での日光浴と思われるが、何のための行動か未だに分からない。今までに長い個体は同穴に約3ヶ月以上いた。晩は見られないことから、餌を求めて穴を出ていることは間違いなく、夜明け前には同穴戻ってくるようである。穴から顔を出している可愛い写真は撮影してあるが、アカマタも同様に写真を載せると場所の見当がつくので写真の掲載はやめる。

<一晩にヒメハブの交尾2例観察>
 その日の晩、ハロゥウェルアマガエルの群れの大合唱の中にひと時身をおき、その声を体に染み込ませ、毎回ヒメハブが出没する場所へ向かう。ヒメハブは冬に少なくなる爬虫類で唯一数が見られるヘビである。カエル類の繁殖場所には付き物のヘビで皆丸々と太っている。途中の道路上にも数個体を発見、繁殖期真っ只中のオキナワアオガエルを狙っている。道路上で交通事故にあわぬように足で突き移動させるが、体を平らにし怒る。数回靴に噛み付くがかなわぬと見るとサイドワインダーと同じS字型歩行でジャンプするように道路脇に逃げる。
道路脇の高さ1.5m程のコンクリート塀の上、懐中電灯で照らすといるいる、3個体がきちんと何時でも飛びかかれるように体をS字型に構え並んでいる。毎回同じ個体が同じ位置にいる。程よく餌が捕食できるのであろう、リュウキュウカジカガエルのいる場所で、そのカエルを食べるのに丁度よいサイズ(50cm前後)のヒメハブが集まっている。今日は筆者の足元に新参者もいる。手前のヒメハブはまさに今食事中、カジカガエルの足だけが口から出ている。ライトを向けても知らん顔でカエルを巧みに口の中へ送り込んでいる。塀の奥ではカジカガエルがよく鳴いており、そちらに向かう。そこには6個体のヒメハブが見られ、水際に放置してあるベニヤを照らすと、その上で雌雄が交尾中。雄は尾を雌の尾に巻き付け体はⅤ字型に離している。その場に腰を落とし覗き込む。雌雄は明かりが嫌なのか動き始めたため、邪魔しては悪いのでその場を離れる。自然化での交尾はそう見られるものではなく、よいものを見たと気を良くし次の場所へ移動。
今度は山裾のバショウ畑に隣接する小さな田んぼ。ここはガラスヒバァとヒメハブの大物をよく見かける。懐中電灯を照らし散策開始。足元から多くのカジカやヌマガエルが飛び跳ねるなかヒメハブが2匹灯下に入る。2匹はV字型に、またしても交尾中である。何と運のよいことか、自然下で一晩に2組の交尾が見られたのは始めてである。この日は小雨上がりで気温は約18℃。ただ、直ぐに雌雄は動き始め交尾直後だったのか交尾姿勢をとく、写真を撮る暇も無く「邪魔してすまん」とその場を離れる。その直後ガラスヒバァの最大サイズが足元に、ここではヒメハブが6個体、ガラスヒバァ1個体を観察でき、気を良くしてその場を引き上げた。

投稿者 seltage : 2006年05月01日 21:22

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