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2007年12月30日

調査日誌より(2007年12月№7)

◎リュウキュウアカガエルの産卵が始まりました。
◎オガサワラヤモリの発見

◎リュウキュウアカガエルの産卵が始まりました。
 11月に入り中旬以降になると気温も下がり、ヤンバルの気温は最低で15℃となり、リュウキュウアカガエルの移動が見られるようになりましたが、今年は例年より道路上へ出てくる個体数が少ないようで、少し心配していましたが、繁殖が見られる沢を除くと例年と同じように集まっており、安堵しました。
 12月の初旬には1箇所で30~40個体ほどが集まり、雄による雌の争奪戦です。水中では水底の石や落ち葉・枯れ枝に1個ずつ寒天質に包まれた卵が、多いところでは1m四方はどの流れの緩やかな水場の水底は卵で埋まっており、緩やかな水の流れにゆれています。
 12月中頃に今年最後のやんばる行きで、産卵場の1箇所を除いてみるとあれだけあった卵が全く見られず、場所を見間違えたかな?という錯覚を起こすほどに卵の姿が見られないのです。よく水底を観察すると僅かながら孵化して間もないオタマジャクシが見られました。こんなはずは無いのにと水底を凝視すると動くものが居る。カニだ。それもこの辺の沢にしては比較的大きな甲幅が10cmはある。カニの鋏には毛が密生しており、モズクガニである。盛んに鋏を動かし何かを探している。アカガエルの卵を食い尽くしたのはこのモズクガニだろう。他の産卵場もよくみると、2~3cmのヌマエビ(?)の仲間やミナミサワガニがアカガエルの卵を食べているのを観察できた。中には渓流のトンボだろうかヤゴもいる。水辺にはハシリグモの大きな個体(足を広げると掌ほどある)がオタマジャクシや産卵に来たアカガエルを狙っている。この時期はまだリュウキュウアカガエルしか産卵していない時期でもあり、捕食者にとってはよい餌となるのだろう。そういえば毎年見られるヒメハブが今年は来ていない。移動が遅れているのかな?

◎オガサワラヤモリの発見
 沖縄の八重山諸島には既にオガサワラヤモリが気化していることはご存知だろう。今年の9月頃に沖縄本島でもオガサワラヤモリが見つかり、定着しているのではという話を聞き、早々にヤマガメの調査ついでにやんばるで探してみた。
 それは探し始めて直ぐに見つかったのである。大体の生息する樹木の種を聞いていたのだが、こんなに簡単に見つかるとは思っても見なかった。海岸の防風林のアダンの木やオオハマボウ・モンパノキに多い。タイプは体の模様などから、ヤエヤマの個体群とは異なるようだ。体長は小型で8cmほど体には小さな黒点が点在し、尾はやや水平方向に扁平で形はオンナダケヤモリに似て、黒色の複雑な模様や斑紋がある可愛くて美しいヤモリである。しかし、気化種でありには代わりが無いが人為的に故意に持ち込まれたものではないようで、流木に乗って流れ着いたものであろうと考えられている。ただ、雌のみで単為生殖するし、1匹によって繁殖を繰り返す厄介なヤモリであることも確かだ。発見場所では小さな虫や植物につく蛾の幼虫を主に食べ、花が咲けばその蜜も舐める。
 現在は発見場所以外に2箇所生息する場所を見つけており、そこから10個体ほど捕獲して飼育観察中、既に繁殖もしている。また今後より広い範囲で生息を確認していくつもりである。

投稿者 seltage : 10:23 | コメント (0)