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2008年05月24日

ノグチゲラの営巣

思いがけない場所でのノグチゲラ営巣

よく、やんばるへ出かけていると、思いがけない発見があるものです。今回は某林道脇のノグチゲラの営巣です。
リュウキュウヤマガメの調査後、最近分かったミナミヤモリの隠蔽種であるオキナワヤモリ(旧クメヤモリ)を探して、木の裂け目や洞を探索中、ノグチゲラの営巣巣らしい穴を発見。これまで山中では営巣跡の穴をよく見かけており、2年前にも人里近くの河川脇で営巣中のノグチゲラを見つけ、雛の巣立ちまでを観察したことがある。発見した巣穴が営巣中かどうかは巣穴の周囲を見れば、簡単に分かる。今回の巣穴も営巣していることは分かるが、まさか林道から距離的にも5m少々しか離れておらず、巣穴の入口も丸見えで人の目線からも少し上だ。
まさかこんな場所で営巣するのか?しかし、巣穴の入口は今現在使っている。近くでノグチゲラの鳴き声も時折聞こえる。だが、私の目的はオキナワヤモリで、5m先にオキナワヤモリの潜みそうな洞がある。私としてはそちらが先ということで、一旦離れて木の洞の探索を優先。樹胴内をライトで照らし探索中、近くで鳥の雛の声が耳に入る。声の大きさからかなり近い、それも2年前によく聞いたノグチゲラの雛の声だ。やはり、あの巣穴は営巣中なのだ。ゆっくり近づくと雛は鳴きやまず、親を呼んでいる。2~3分後その場で静止していると、案の定親が餌を銜えて近くの木の止まり、周囲を警戒。雛は親が近いことを知り、鳴き続ける。親は私の存在を気付いているが、そのまま巣の入口に止まり、その後中に入り餌を与え、雛の糞を銜えて飛び去る。果たして親は雌雄揃っているのか?それを確認のため、そのまま静止し待つこと5分ほどで、再び親が餌を銜えて現れる。4度ほど親の行き来を観察し、雌雄揃っていることも確認でき、その場を離れた。
さぁ、どうしたものか?立場上、県への報告義務はあるが、その他の人に知らせるべきか?2年前もこれで悩み、結局は研究者1名のみに知らせただけで終らせた。今回は林道脇で5月の連休からそれ以降今までは見つかっていないようだが、枯れ木でもあり、まさかという場所ではあるが、見つかりやすい。公にすればワッと人が集まり、とんでもないことになるのは、目に見えている。今のところは、信用のおける私の知り合いにしか知らせていないが、ノグチゲラの営巣をこんな近くで観察される機会は稀で、一般の理解を得るよい機会でもあるが、特にこれからの子供達に見せたい。しかし、不心得な大人による妨害も起こるのも確実。いつも悩まされる現実がここにあり、こんなことで悩む今の社会も悲しくなる。

投稿者 seltage : 15:15 | コメント (0)